買い物できない英国の日曜日
英国に来て最初に戸惑うのは、日曜日である。この国では日曜日は、ほとんどのお店が閉店する。日本のように、日曜日に家族で買い物というのはなかなか難しい。町の商店街で開いているところは、ファーストフードのお店ぐらいのものである。ロンドンの中心街でも、ジョンルイスやセルフリッジなど、日本で言う小田急百貨店や東急デパートに相当するデパートが日曜日に閉店してしまう。ロンドンに来た当時は、知識としては知っていてもいざとなると忘れてしまい、日曜日に買い物できなくて困ることが多々あった。特に、日曜日に、1週間分の食べ物を買おうなんて考えていると、飢えに苦しむことになる。もっとも、昨年10月の法律の改正により、日曜日に店を開くことが容易になった。そのため、英国で有名なスーパーマーケットのマークス&スペンサーやセインズベリー、テスコ、セイフウェイなどは、それ以来軒並み日曜営業をするようになった。これで、日曜日に食べ物がなくて飢える心配だけはなくなった。それでも、多くの商店はいまでも日曜休業を続けている。
ちなみに、筆者のお気に入りは、マークス&スペンサーである。英国には珍しく、おいしい食べ物を売っているからである。セインズベリーは、安いが時々日本人に合わない食べ物があったりして、一口食べてごみ箱行きなんてこともある(変なものを買わなければいいという声もあるが、珍しいものを買わずにいられないのが筆者である)。テスコもなかなかいいのだが、店が広すぎて疲れてしまうこと、また、品数が多いので買い過ぎて、思わず筋力トレーニングのような重さの買い物袋を持ち帰るはめになるのが難点である(筆者の体力が問題なだけ・・・)。
では、なぜ日曜日に閉店するのだろうか。「24時間働けますか」(古い!)というキャッチコピーのCMが大うけする日本人からすれば、日曜日こそ稼ぎ時である。休む理由が理解できない。物の本を読むと、「英国人の多くはクリスチャンである。クリスチャンは、日曜日には教会へ行き祈りをささげるとともに、教えに従い休養日とするのである。したがって、日曜日には、ほとんどの商店が閉店するのである」と書かれている。
しかしである。どうも表面的な捕らえ方のように思えてしょうがない。というのも、これに対する反論は簡単だからである。
例えば、他のクリスチャンの国では、日曜日でも働いている例もあるということである。英国だけが、敬謙なクリスチャンとは信じがたい(こういいながら、実は筆者も敬謙な仏教徒ではない。宗派は何だったかも忘れていて、毎回のようにお寺で尋ねるという失態を30年間続けている)。ならば、なぜ数多くの教会が廃虚となり、他の目的への転用を待っているのだろうか。あるアンケート調査によると、クリスチャン(英国国教徒)である英国人は、年々減少しているという。ほとんどの英国人が日曜日のミサに参加することもなく、クリスマスでさえ日本のクリスマスのようにお祭り以外の何物でもなくなってきている。実際、英国では、来月からクリスマスの店の予約がスタートする。日本でもバブル期には、シティーホテルの予約を一年前からしている若者(相手が決まっているかどうかは二の次で、とりあえず押さえておくらしい)がいたらしいが、それとあまりかわらない。聞くところによると、今の日本では、大塚寧々的少女か、安室なんとかというシンガー風のファッションの2つぐらいしかないということなので、相手はだれでも同じかもしれない。こう書くと筆者が「おじん」であることがばれてしまうので、話を戻そう(もう遅い)。
最近読んだ日本人向け雑誌によると、どうも日曜休業は、宗教上の理由というのではなく(もちろん、当初はそうだったろうし、今でも一部はそうだろうけど)、人件費の問題からだそうだ。日曜日に人を雇うと、コストが高くてやっていけないというのである。さもありなんである。
しかし、人件費で言うなら日本の方がはるかに上である。これも、言い逃れかもしれない。単に、そこまでして働きたくない、もっと仕事以外の生活を楽しみたいという「西洋的個人主義」のあわられが、日曜休業の主な理由なのではないかと、かんぐっている筆者であった。
まあ、どうでもいっか。そのおかげで筆者も日曜日に仕事しなくてもいいのだから(一体これまで展開してきた考察はなんだったのか・・・)。
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