ロンドンでおいしいもの

 昔、アンチ巨人ファンが嫌いだという巨人ファンがいた。巨人ファンならアンチ巨人ファンが嫌いなのは当たり前であるが、その理由が面白かった。彼に言わせると、阪神ファンや広島ファンなどは許せるが、アンチ巨人ファンだけは許せないとなる。なぜならば、巨人が負ければよいというような、消去法的喜びに陶酔する輩の根性が許せないからだ。確かに、阪神が好きだから阪神が巨人に勝てばうれしいというのはまっとうな喜び方であるが、アンチ巨人ファンなので阪神が巨人に勝つとうれしいというのは少々ひねくれている(もちろんひねた性格の筆者が他人のことをとやかく言えた立場ではないが)。

 ということで、アンチ巨人ファン的消去法によらない、より積極的な英国食べ物事情をお送りしよう。なんてことはない。まずいまずいという前に、うまいものを探そうということである。たったこれだけのことを言うのに、原稿用紙1枚分も費やしてしまった。相変わらず前置きが長いなあ。

 筆者の自慢は、100gが500円のお茶と100gが600円のお茶の違いを見分ける舌である。その筆者が、厳選した英国庶民料理を紹介しよう。

 さて、筆者がうまいと思うものは、第一にイチゴである(どこが料理なのか)。特にイングリッシュ・ストロベリーと言われるイチゴは、最高とは言わないまでもまずまずである。何がいいって、昔の日本のイチゴを思い出させる味だからである。最近の日本のイチゴは、どうも人工的な味わいがして今一つの感がある。

 次に、ケバブ。これはトルコ料理(料理だが英国料理ではないぞ)であるが、ロンドンのあちこちでファーストフード店風に売っているのを見かける。店を覗くと、円筒形になった肉の固まりが目に入るはずであるが、これがケバブである。一般的には、薄切りにしたケバブをにんにくたっぷりのたれをつけて食べる。ソーセージ風の味わいである。

 ソーセージといえば、ソーセージ(これもドイツだ)もおいしい。スーパーマケットブランドなどには、時々はずれもあるので注意が必要である。が、塩っ辛いことを気にしない人なら、十分楽しめるであろう。バーベキューにすれば、さらにおいしく食べられる。  次が、ピザである(今度はイタリアン)。ピザ屋さんに行ってもいいのだが、冷凍食品のピザでも十分においしい。日本のピザと決定的に違うのは、生地の厚みである。ディープパンと呼ばれる少々厚めの生地に、たっぷりのパルメザンチーズをかけて食べるのは美味である。また、パスタも種類が多く、味だけでなく、毎回違った舌触りや形を楽しむことが出来る。

 次に、中華料理(もちろん中国)。英国には、テイクアウトの中華料理店が多い。100以上のメニューから好きな物を注文すると、その場で作って持ち帰れるように詰めてくれるのである。中華料理に関しては、いつかまたリターンマッチをする予定である。

 スモークドサーモンもおいしい(お、これは英国料理だ)。脂がのっているので、たくさん食べると1ヶ月ぐらい見るのもいやだってなことになりかねない。が、手巻き寿司にでもすると最高である。

 次に、チョコレートとクリスプ(これらはもともとどこのお菓子なのだろう?)。チョコレートの中でも、濃厚なタイプはちょっと食べるぶんにはなかなかの味である。大きな駅には、大抵いろいろなチョコレートを自分で袋に詰めて計り売りしている店がある。そのような店のチョコレートは少々値が張るが、概しておいしい。クリスプとは、日本でいうポテトチップスのことである(英国では、チップスといえばフライドポテトのことであるので注意が必要である)。特に、Walkersというメーカーが一番当たりはずれがなくおいしいようだ。筆者は、おいしいクリスプを求めて、スーパーマケットブランドなど、かなりの数を食べた。その結果、walkersが一番、次にMarks and Spencer'sブランドという順番である。他のものは、ロット差が大きい(要するに、買う度に味が違うのである)。クリスプもリターンマッチを予定している。

 ざっと挙げるだけでも、これだけ筆者お気に入りの料理(クリスプもれっきとした食事の一部らしい)があった。もちろん、英国独自の料理でないものも多いが、多国籍民族国家となってしまった英国では、他国の料理といえども英国料理といって良いのかもしれない。日本でもカレーライスやスパゲッティーのように、日本独自でないがポピュラーな料理があるのだから。

 それにしても、お腹がすいた。出前一丁ラーメンでも食べようかなあ(そんなの食べているようでは全然グルメでないぞ)。

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