まともな中華料理を食べよう

 ロンドンの中華街といえば、レスタースクエアーのちょっと北の一帯である。横浜の中華街と比べればはるかに規模が小さいが、ロンドンに住む日本人にとって貴重な場所であることには違いない。

 なぜかっていうと、第一にここに行けば食べ物と呼べるような物を出してくれるレストランがあるからであり、第二に日本の食材が豊富に手に入るスーパーマーケットがあるからである。

 筆者が時々この中華街に出没している理由は、第二の理由による。そう、食材を求めて中華街を徘徊するのである。しかし、買うといってもせいぜい「出前一丁ラーメン」とか「グリコのポッキー」、そして飲茶類である。

 が、他の日本人は違うらしい。おいしい中華料理を食べるためにやってくるのである。ちなみに、昼食なら数ポンドでおなかいっぱいになるほど食べられるが、夕食になると、20から30ポンドとなるので、筆者には手が出せない。

 彼らに言わせると、
「ロンドンで一番おいしいのは、中華料理でしょう。レスタースクエアーの中華街の店なら外れはないし、どこでもおいしいはず」
 となる。  しかし、それは間違いである。もちろん、中華がロンドン、いや英国中で一番愛されおいしいことには異論がない。ただ、どの店でもおいしいというわけではないのだ。英国では、中華であろうと、まずいとことはまずい。変なところで、Britishな伝統を受け継いでしまったのである。

 ではなぜ、彼らは中華はどこでもおいしいと思っているのであろうか。理由は簡単である。おいしい店に行っているから、いやおいしい店が日本人むけガイド書に紹介されていて、それに従っているからである。ロンドン三越に行くと、周辺のおいしい見せマップというものをくれるが、ここにもレスタースクエアー内の中華料理店が紹介されており、確かにそこはおいしい(ちなみに、筆者は人のおごりで行ったことがある)。

 しかし、その他大勢の中華料理店の中には、日本人の口には合わない味(一般的にはまずいと表現する)の料理を出す店も少なくない(体験談)。値段につられて思わず入ってしまうと、爆竹でも投げ込みなくなるような味の食べ物らしき(?)物体と接近遭遇してしまうのである(しかも第一次接近遭遇のような生易しいものではない)。

 一体どんなものが出てくるのかは、料理の味ゆえ文章では表現しきれない。が、あえて無理に挑戦してしまおう。まず、シュウマイや餃子類。通常は中身に海鮮か肉類が使われているのだが、まずい店では、動物性脂で中身を固めたような、恐ろしく脂っぽい肉らしきものが入っていることがある。それは、まるでラードを餃子の皮に包んで食べるような無気味さである。

 カニスープ。これは、無気味ではないが頭にきてしまう。日本で言うところのカニもどき(カニかまぼこともいう)が入っていたりするのである。それを称してカニスープなのである。カニもどきスープの間違いといえよう。

 ということで、店に入るときは気をつけなくてはならない。決して値段で選んではいけないのだ(参考までに筆者お薦めは山王である。場所は勝手に探してね)。

 さて、話はまだ終わらない。英国には、テイクアウトの中華料理というものがあるので、それを言わずして中華を語ったことにはならないからである。

 テイクアウトの中華料理屋さんは、どんな町でもたいてい一軒はあるといってよいだろう。外から見ると、カウンターがぽつんと見えるだけで、一瞬入るのをためらってしまうような店構えである。しかし、一度入ってしまえば、病みつきになること疑いなし。晩ご飯の用意が面倒なときには重宝する(体験談。何度使い走りをしたことか。そういう奴をぱしりと呼ぶらしい)。

 店によってメニューは違うが、大抵100種類以上のレパートリーがある。スープはもちろん、炒め物、やきそば(当然ながらラーメンはない)、チャーハン、デザートなどレスタースクエアーの中華街のメニューに負けないだけの品数がある。味は、少々濃いことを気にしなければ、万人が満足いくであろう。値段もそこそこであって、味もそこそこ、日本で言えば大衆食堂といったところであろう(中には出前をしてくれる店もある)。

 いずれにしても、テイクアウトの中華の見せ定めのポイントは、暖かい料理をいかにして家まで持たせるように工夫しているかというところである。一般的な手法としては、とろみを効かせる。とろみを使っていなテイクアウトの中華は、家に帰って食べるときには冷たくなってしまって、おいしさ半減である(温めなおしには容器を移し変えねばならないので面倒である。。ちなみに容器はアルミの皿)。ぜひとも、チェックして欲しい。では、おいしい中華料理に出会えることを願って今日のところは終わりとする。

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