サマータイム
近年、日本でもサマータイムを導入しようという動きがあるらしい。サマータイムというのは、夏期、日が長い期間だけ1時間ほど時間をずらすことにより、日中を有効に使おうという制度である。導入の意図は、明るい時間に働くことによって、エネルギー消費量を減らそうということである。確かに、エネルギーの面ではかなりメリットがありそうである。では、サマータイムを導入している英国ではどうなのであろうか。
ここ英国では、夏が近づくと、ある日突然8時が9時になってしまい、会社に遅刻し、夏が終わったある日突然8時が7時となってしまい、会社に早く行ってしまうという面白い制度である。もちろん、その時期になると、サマータイムの開始や終了がアナウンスされるので、間違える人は少ない。
このサマータイムの効果は、第一にアフターファイブを有効に使えるということである。サマータイムが始まれば、それまで4時だったのが5時となるために、1時間早く退社(もちろん1時間早く出社しなければならないが)でき、明るい時間にアフターファイブを楽しめるという寸法である。
ましてや、ここ英国では夏の日照時間が極めて長い。夜の9時、10時まで明るいので、日本のように「明るいうちに帰ってきなさい」って子供に言おうものなら、帰りは10時頃になってしまうだろう。もちろん、5時、6時には、会社をでてしまう英国人のパパさんは、明るいうちに家に帰ってくる。そして、子供達とクリケットをして遊んだり、庭でバーベキューをしたりして、家族との大切な時間を明るい夜に満喫するのである。よく、映画のワンシーンで、明るいうちに「ご飯ですよ」ってママが子供を呼ぶシーンがあるが、あれは高緯度地方だからこそ起こることなのである。
そう、高緯度に位置する英国で、サマータイムがもたらす恩恵は、英国人のアフターファイブを大切にする精神と微妙に絡み合っているのである。
さて、もしこのサマータイムが日本に導入されたらどうなるだろう。日本の世論では、残業時間の延長につながるので反対という意見がちらほら聞かれる。また、年配の人にとっては、1時間のずれが生じると体調を維持するのが難しいとも言われている。
筆者の英国での経験から意見を言わせてもらえば、日本での導入には反対である。理由は簡単。日本、特により影響を受けると考えられる東京は、高緯度地方ではないからだ。日本でサマータイムを導入しても、7時かそこらまで明るいにすぎず、これでは中途半端である。また、寒く暗い冬があってこそ、サマータイムによる明るい夜を楽しむ気持ちがでてくるというものである。雪国を除けば、日本の冬は晴天が続く。冬であろうと太陽を満喫することができるし、寒いといってもわずかな間だけである。
これでは、マスコミが危惧するように、残業時間の延長を助長するだけであろう。事実、筆者自身のことを考えてみても、夏の労働時間は、冬のそれより長いのは明らかである。夏だと、いつまでも明るいのでもう少し仕事をしていこうと考えがちであるし、その逆に冬は4時頃に帰りたくなってしまうからである。また、明るければ、暗いよりは安全という意識が働くので、遅くまで仕事をすることができるという理由もある(治安のよい日本では当てはまらないかも知れないが)。
おりしもフランスでは、サマータイムを廃止することが決まったらしい。なんでも、時計を進めたり遅らせたしする経費が、国の財政を圧迫しているという理由からだそうである。公務員がストをするフランスなので、日本と比較することはできない。が、理由はともあれ、サマータイムは高緯度の国にこそ似つかわしい。
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