帽子
英国人は、帽子が似合う。これは、否定のしようもない事実である。足が短い(筆者だけか)日本人に羽織袴が似合うように、英国人には帽子が似合ってしまうのである。
ただし、帽子といっても、野球帽のようなものではない。アメリカ人なら、人気スポーツでもある野球の帽子をかぶっている人も多いかもしれない。もちろん、人気スポーツだからといって、アメリカンフットボールのヘルメットをかぶってニューヨークの町を歩いているアメリカ人はあまりいないだろう(と思うが・・・)。
よくよく考えると、英国で人気のスポーツで帽子をかぶるものは、ほとんど無いといっていいだろう。フットボールで帽子をかぶっている選手は見かけない(キーパーにはいるなあ)し、スヌーカーなどは室内競技である。まあ、クリケットで審判が麦わら帽子のようなものをかぶっているのは見かけるが、それが流行の帽子になるとは思えない。
ということで、英国人がかぶる帽子とは、ずばりシャーロックホームズ帽子である。といっても、おわかりだろうか。おわかりで無い方は、シャーロックホームズ全集でもお読みになって調べてもらいたい。とにかく、シャーロックホームズがかぶっていた帽子が、とてもよく似合うのである。
なぜ似合うか。筆者の独断と偏見による「帽子と英国人における美的相関論」により、2つの理由が明らかになった。
第一の理由は、髭である。髭というのもがむさくるしいとか、接客業には不似合いといった概念がない英国では、髭をたくわえた人の割合が高い。その髭が、シャーロックホームズ帽子と微妙なハーモニーを奏で、英国紳士を英国紳士らしく、普通の英国人もそれなりに装飾してしまうのである。もちろん、かといって、かの有名なお茶の水博士がシャーロックホームズ帽子をかぶって似合ったかどうかというと、疑問符が残るのだが。お茶の水博士を知らない若い世代、および若いふりをしたい世代の方は、3、40代の方に聞いてみると良い。きっと、適切な答えが得られるであろう。
そして、第二の理由は、チェックのジャケットがシャーロックホームズ帽子にはベストマッチであるということである。間違っても、リクルートスーツにシャーロックホームズ帽子をかぶっている人はいないし、かぶってはいけない。それは、はちまきをして100m自由形に出場する水泳選手のようなものである。かぶらない方がましというものであろう。
髭にチェックのジャケットをまとって初めて、シャーロックホームズ帽子が生きてくる。もちろん、パイプを片手に持っていれば尚良いのであるが、嫌煙権が確立されている当世では、必須アイテムとは言えないだろう。
かくして、英国紳士は、今日も帽子をかぶるのであった。
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