緊急企画

 ショックを受けた。

 何とアジアのヤオハン、英国駐在員の胃袋・ヤオハンが倒産したというのだ。ヤオハンは、大規模店舗法により、後発であるがゆえに日本国内では店舗を増やすことがままならず、海外に拠点を移し、その後躍進してきたはずだった。しかし、資金繰りが悪いという噂が噂を呼び、とうとう倒産してしまったのだ。

 考えてみれば、海外に進出したことが結果的に足を引っ張った形になるとは皮肉なものである。以後、小判鮫企業が連鎖倒産するようなことになれば、大規模店舗法の存在が問題視されてしかるべきかもしれない。

 しかし、いかに緊急企画とはいえ、英国見聞録に政治経済の話題は相応しくない。いや、語れば、筆者の無知をさらけ出すだけである。したがって、英国見聞録らしい話題へと強引に移っていくことにしよう。そこで、冒頭の「ショックを受けた。」へ戻って、話を続けることにする。

 そう、ヤオハン倒産のニュースを聞いて、ショックを受けたのである。なぜって、ダイアナ元妃の死亡事故を聞いたときと同じ大きさの衝撃を受けている自分に気がついたからである。この不謹慎ともいえるショックの近似性は、筆者がダイアナ元妃への関心の薄さを示すのか、あるいはヤオハンへの愛着の深さを表しているのか、いずれにしても、ショックを受けたこと自体にショックを受けたのである。

 そもそも、ヤオハンの倒産の噂は、昔からあった。そして、それが近いと感じさせたのは、ヤオハン倒産アンケート事件であった。

 某ヤオハン偵察スパイ(俗に買物客という)からの報告によると、ロンドンヤオハン内で、「ヤオハンがなくなったら困るか」というアンケートが実施されていたというのである。これは、考えてみたら「ぎゅう」ではなく「とん」でもないことである。何が楽しくて、店舗内で、店じまい後のアンケートを取らなくてはならないのか。

 そう、その時には、すでに倒産は避けられないこととして社員に受け入れられていたのである。問題は、後処理である。どのような形になるのかはわからないが、ロンドンヤオハンを残すか、その目算はたつのか。そんな思いを込めたアンケートであったのであろう。

 かつて、ヤオハン貧乏という格言をも産み出したロンドンヤオハンの栄華は、ここに幕を閉じるのであろうか。奢れるものも久しからずである。

 強く人気があるがゆえに叩かれる巨人大鵬卵焼きも、巨人が解散(成績不振で解体という噂はあるが)、大鵬引退、鶏が卵をうまくなった(そんなことないぞ)・・・・といった理由でその存在がなくなれば、逆に頑張れといいたくなる日本人的「お涙頂戴物語」となるだろう。

 今のヤオハンは、まさにそんな状態である。十両に落ちそうな小錦を応援する、かつてのアンチ小錦ファン、それが、ロンドン貧乏日本人の総意かもしれない。

前へ
次へ