現実にあわせる
すでにどなたかに指摘されてしまったことだが、今年から50ペンス(約100円)硬貨が一回り小さくなった。と同時に、コインに描かれているエリザベス女王が現実の年相応に変更された(どちらが新しいコインかはおわかりのことと思う)。
このコインの変更は、昨年からアナウンスされていたことである。もともと、大きすぎるコインを小さくするということが目的であって、女王をふけさせることが目的ではなかった。しかし、ダイアナ元妃が亡くなって以来、エリザベス女王を取り巻く状況は厳しくなる一方であり、女王が一段と年をとって見えるようになったと感じるのは筆者だけではあるまい。その意味では、実にタイムリーな変更だといえよう。
また、来年には2ポンド硬貨もお目見えすることになる。現在の硬貨は、1ペンス、2ペンス、5ペンス、20ペンス、50ペンス、1ポンドの6種類であるが、久しぶりに新しい硬貨が登場することになるのだ。もちろん、エリザベス女王は現実の年にあわせたものになるらしい。
さて、ここまでは、日本在住の方であろうともご存知のことである。日々すみからすみまで新聞を読んでいれば、英国のコインが変更になったというニュースぐらい、どこかに書かれているはずだからである。
しかし、英国見聞録は新聞とは違う。もちろん、主観的であるという点がもっとも違うところであるが、それ以上に単なる事実の羅列に終わらないという特徴がある。そこで、コインにまつわる話を紹介したいと思う。
50ペンスコイン(以下50Pと略する。英国人はこれを50ピーと呼ぶ)が変更されて間もなくの頃、巷の自動販売機に「新コイン使用できます」という貼り紙をみかけた。日本人の感覚からすると、新しいコインが登場すると、あっという間に新コイン対応となるので、いちいち「新コイン使用できます」という貼り紙をする必要はないと思うに違いない。
実は、筆者もそう思っていた。だから、その自動販売機が新コインに対応しているという事実よりも、新しいコインが出まわり始めたことに気をとられたものであった。
が、英国では状況は違う。今年の総選挙で保守党が敗れたとはいえ、さすが保守的な英国である。新しい50Pコインが出まわろうと、そうやすやすとは新コイン対応には変わらない自動販売機があるのだ。そのため、あちこちで新しい50Pコインをコインとして認識してくれない自動販売機に出くわすのである。自動販売機までが保守的にできているらしい。
そのことに気がつくまで、筆者は何度も自動販売機に新コインを投入しつづけたものである。全く困ったものである。もちろん、賢明な読者の皆さんは、英国見聞録をお読みになっているので、筆者の二の舞となることはないだろう。
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