お茶とコーヒーどんでん返し物語
どんでん返しは、日本人の好みである。ウルトラマンダイナだって最初は苦戦し、もう少しでやられてしまうということろで大逆転が起きるのが常であるし、推理小説では犯人と思っていた人が犯人であることは皆無であり、探偵が謎解きをする時に大どんでん返しがおきるものである。
もっとも、現実の人生には、どんでん返しというスパイスはあまりない。まあ、店屋物の配達中にオートバイが倒れて、「てんどん(天丼)返し」ということはあるかもしれないが。ん、とにかく、だからこそ小説やらテレビドラマにどんでん返しを求めるのである。
しかし、外国に暮らすとどんでん返し現象にであうことは珍しくない。名前と名字の順番がひっくり返ってしまうぐらいだから、様々な場面でどんでん返しを経験することになるのだ。
英国に来て驚いたことの一つに、コーヒーのいれ方がある。もちろん、コーヒーのいれ方には様々な方法がある。ドリップ式とかサイホン式など、筆者もいろいろな方法を試したことがある。が、和食特異的な味覚認識遺伝子を保持する筆者には、いれ方による味の差がそれ程大きいとは思わなかった。もちろん、遠藤周作に代表される「違いの分かる男」たちがどんなに美味しいといってもインスタントコーヒーをおいしいとは思わなかったが。遠藤周作といえば、彼の昔の家は、筆者の家から歩いて5分のところにあった。幼かったころの話なので、散歩する彼の姿を見かけてもミーハー心が騒ぐことがなかったのは、思い返せば残念なことである。サインでももらっておけば良かった。
話を戻そう。英国のコーヒーのいれ方の特徴は、日本ではティーサーバーとして使われているものがコーヒーサーバーとして使われているということである。
ガラスの円筒形の容器に紅茶の葉っぱとお湯を入れ、しばらくしてから蓋についたピストン状のもので、上から押し付けるようにして紅茶の葉っぱを押さえつけるタイプのティーサーバーを見たことがある方は多いだろう(不勉強な筆者は、このティーサーバーの正式名称を知らない)。
英国人は、このティーサーバーをコーヒーを入れる時に使うのである。紅茶の葉っぱの代わりに、挽いたコーヒー豆を入れるのである。始めて見た時は、その人特有の使い方ではないかと思っていた。しかし、そうではなかった。デパートの商品カタログなどのコーヒーサーバーの場所にも載っているし、丁寧にコーヒー豆が入れられている写真を見かけることもある。これは、英国人一般にあてはまる使い方なのである。
では、紅茶はどうするかというと、もっぱら瀬戸物の洒落たティーポットを使う・・・わけはなく、ティーバッグである。まあ、大人数の時はティーポットを使うこともあるのだが。
日本ではティーサーバーであると思っていたものが、英国ではコーヒーサーバーとして用いられている(どちらが本来の使い方なのかは知らないが)のは、まさにカルチャーの大どんでん返しと言えよう。
前へ
次へ