どうしてくれようか−その2−

 そこで、多細胞生物でありながら考えることは単細胞である筆者はこう考えた。

「発表当日、風邪で休んでやれ」

と。もちろん、ずる休みである。

 発表前日、筆者は平然を装った。が、ボスは意外と敏感なのである。つつっと、筆者の実験台に近づいてくると言った。

「ミツル、発表するってことで問題ないよね」

 あまりにも鋭い指摘に内心どきっとしながらも

「何か、気になることでも?」

と、すまして答える。

「いや、何でも・・・」

 去っていくボスを見て、この作戦は見抜かれていると感じた筆者であった。

 が、決行あるのみである。

 その夜、真夜中12時を過ぎた頃のことである。どうも、寝付かれない。ネッシーが肩の上に乗っかっているような重みを感じるのである。もちろん、その時点で発表準備などは全くしていなかった。発表までは12時間程しかないが、どうせプログラムに穴を開けてやるんだと思っていたのだから当然である。

 しかし、ボスに見ぬかれている可能性は捨てきれない。見抜かれていて決行するのは、あまりにも面白くない。そこで、5秒ほど再考した後、作戦変更を決定したのである。

「発表はしよう。しかし、ボスを笑いものにしてくれよう」

 これが変更後の方針であった。

 かくして、深夜のプレゼン作りが始るのである。もちろん、スライド作成が間に合うはずもない。すべてOHPである。ちなみに、この時のプレゼン作りに使用したものは、以下のような品々である。Power Point、Corel DRAW、Photoshop、Win/TV、ビデオカメラ、タブレット、カラープリンターである。どれも、手あかまみれの筆者愛用品である。

 さて、作製したプレゼンの一部を紹介することにしよう。もちろん、社外秘ならぬ所外秘もあるため、一部墨が入っているところもあるが、それは本題(ようするに「どうしてくれようか」という主題)と関係ないため問題とはならないだろう。

 一枚目は、前座である。もちろん、マウスの絵は筆者手描きである。このOHPの意味するところは説明するまでもないだろう。

 二枚目は、もっとも笑いをとったものである。ボスの顔写真をみて皆笑ったときには、「してやったり」と思ったことは否定できない。深夜にプレゼンを作った甲斐があったというものである。

 そのほかにもいくつかあるのだが、データと密接にリンクしたものであるため、お見せすることができないのが残念である。

 とにかく、「ボスを笑いものにしてくれよう」という初期の目的(なんだか違うような気もするが)を果たした筆者は、気分よく会場をあとにしたのであった。

 ん、結局、能天気であることを証明しておわっただけかな。

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