世紀末(この原稿がいつ書かれているかは、この言葉でご想像いただけると思う)と不況が重なる日本では、連日暗いニュースが新聞紙上をにぎわしている。ストーカー殺人、自衛隊機の墜落、リストラ等、枚挙にいとまがない。中でも驚いたのは、企業献金禁止という約束、いや法律を反古にしようという代議士先生方の見識である。考えてみてほしい。もしも、自分の子供のお小遣いを、お互いの話し合いのもとに月に1000円と決めておいたにもかかわらず、足らないからといってもう少し欲しいとお母さんにお願いして認められるだろうか。よほどの金持ちかよほどの過保護でない限り、認められることはないであろう。もっとも、この「よほど」というのが「マイナー」という意味ではないかもしれない。特に、少子化が進む現代では、過保護という概念は、筆者が謙虚であると同様に自然のこととして受け入れられているといってよい。
話は違うかもしれないが、考えてみると、過保護という環境は人間特異的なものといってもいいだろう。なぜなら、まず第一に、鮭のように、自分の子供の姿を見ることなく死ぬ親もいるのであるから、どうやっても過保護にはなり得ない生物もいる。また、子育てをすることができる幸運を与えられたほ乳類や鳥類などでも、過保護になったという話を聞いたことはない。地面で手足をばたばたさせながら「いやだいやだ、あのバナナがほしい」と泣き叫ぶオランウータンは見たことないし、ゲームボーイのやりすぎで目が赤くなってしまったウサギも見たこともない。以上の観察より、過保護という言葉は、人間特異的ということになるだろう。
話がなかなか「嘘」というタイトルに沿った内容にならないが、それはいつものこととあきらめられてしまう前に、軌道修正をしようと思う。
今回の話は、英国スーパーマーケット業界が善良な市民に対していかなる嘘をついているかという一種の告発である。
英国のスーパーでよく見かけるのは、「3つ買うと4つ目はただだよ」とか、「2つ買うと3つ目は50%オフだよ」というものがある。ミーハーな筆者は、こういう売り文句に弱い。すなわち、スーパー営業部の策略とわかっていながら、思わず買ってしまうのである。さらに悪いことに、筆者は、性格がラフにできている。だから、本当に3つ買うと4つ目がただになっているかどうかなんてことは、チェックすることなどないのである。値札にそう書いてあれば、そうに違いないと信じ切ってしまう、実に幸せな性格なのだ。まあ、人生これほど楽しく過ごせる人間は他にいないだろう。
それはさておき、実は、この3つ買うと4つ目はただだよ」とか、「2つ買うと3つ目は50%オフだよ」という売り文句は、意外と嘘が多いというのである。きちんとチャージされていることがあるという。というのも、そういったバーゲン品は、レジを打つときに自動的に差し引かれるように設定されていなければいけないのだが、それを設定し忘れてしまうことが頻繁に起こるからというのである。英国だからさもりなんであるが、それではすまされないことであろう。なにせ、人を信じることを疑わない純粋な筆者に対する冒涜、ひいては日本人を軽視する人種差別とも言えよう。
ちなみに、こういった事実を知ったのは、当然のことながらニュースを見ていてである。知らなければ幸せだったのにと考える筆者は、人が良すぎるのだろうか。